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2017年1月10日 (火)

中原中也が「四季」に寄せた詩・追補/立原道造との交感/同人会で

 

立原道造には「1936年手帳」と呼ばれる創作ノートがあり

この手帳に

「或る不思議なよろこびに」のエピグラフとした

中原中也の詩と同じフレーズが

書き留められています。

 

それは次のようなものでした。

 


 

§
 

四月十二日、午前九時

東京駅横須賀線プラットフォームにて、待つこと。
 

§
 

或る不思議なよろこびに――

 

 戸の外の、寒い朝らしい気配を感じながら

 私はおまへのやさしさを思ひ、また毒づいた人を思ひ出す

                    ――中原中也

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰ「無題」解題中の参考文献より。)

 

 

こちらは「或る不思議なよろこびに」のエピグラフよりも

中也の詩を忠実に記録(メモ)していますから

エピグラフよりも先に書かれたものでしょう。

 

この記録が書かれたころに

「或る不思議なよろこびに」は書かれ

書かれた詩は「四季」に発表され(6月号)

3月26日には「四季」同人会が初めて開かれました。

 

立原道造と中也は

銀座「はせ川」で行われたこの同人会に出席します。

 

このときのことが

堀辰雄の文章の中に残され有名になりました。

 

初対面の立原道造に

少し酔った中也が突っ込みます。

 

 

やい、ガボリイ……やい、ガボリイ……」と呼んではしきりにからもうとしていた。おとなしい立原君はただもうびっくりしていたようだった。

 

それから数日後、立原君は僕のところに来て、はじめてジョルジュ・ガボリイの詩集を見ながら、「なあんだ、ガボリイって随分好い人なんですね」と安心したように言っていた。こう立原君が素直では、さすがの中原中也も顔負けである。/

 

立原君はしかし、中原君が毒づこうとしたような、ガボリイ好みの、「ご婦人向き」の詩人では断じてない。中原君のようにフランスの詩人のものばかり読んでいた人には、ちょっと似よりの詩人の見当のつかない、独逸のロマンティック直系の詩人である。

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰ解題篇より。「四季」第46号(昭和14年春季号)からの引用の引用です。/は省略の意。原文の歴史的仮名遣いを現代表記に改め、改行を加えました。編者。)

 

 

作家・檀一雄が書いた「小説・太宰治」の中の

中也が太宰にからむシーンを

思わず連想してしまいますが

これは、第1回中原中也賞への推薦の言葉です。

 

フィクションと現実ほどの違いがあります。

 


 
ガボリイは、「月下の一群」(堀口大学)に訳されている

ジョルジュ・ガボリーのことでフランスの詩人。

 
堀辰雄は

立原道造をドイツ・ロマン派直系の詩人と評しているのです。
 

途中ですが

今回はここまで。

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