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2017年1月17日 (火)

中原中也が「四季」に寄せた詩/連作詩を構成する「村の時計」

 

「ゆきてかへらぬ」を「未定稿」として発表して後に

本格的な散文詩4篇を寄せるのは

3か月後の「四季」1937年(昭和12年)2月号誌上でした。

 

「在りし日の歌」には

結局、「四季」発表の「散文詩四篇」は収録されず

「ゆきてかえらぬ」以外に散文詩は収録されなかったのですが

これは散文詩の可能性を捨てたものではなかったらしい。

 

このころ、「郵便局」などの散文詩の試みに並行して

「月の光 その一」「その二」など

短詩の連作構成の詩が試みられたりしていて

詩人は「在りし日の歌」以後を見据えた詩作を積み上げはじめた様子です。

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰ。)

 

「村の時計」や「或る男の肖像」は

連作構成の詩の元(原)詩であった例です。

 

 

村の時計

 

村の大きな時計は、

ひねもす動いていた

 

その字板(じいた)のペンキは

もう艶(つや)が消えていた

 

近寄ってみると、

小さなひびが沢山にあるのだった

 

それで夕陽が当ってさえが、

おとなしい色をしていた

 

時を打つ前には、

ぜいぜいと鳴った

 

字板が鳴るのか中の機械が鳴るのか

僕にも誰にも分らなかった

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えました。編者。)

 

 

この詩は「四季」発表されたとき

6節で構成された「或る夜の幻想」の第2節でした。

 

第1節が、「彼女の部屋」

第2節が、「村の時計」

第3節が、「彼女」

第4節が、「或る男の肖像」

第5節が、「無題 ――幻滅は鋼(はがね)のいろ。」

第6節が、「壁」

――といったタイトルの

独立した詩としても読める詩でした。

 

 

「村の時計」には

物語のはじまりを告げるような

まだ何もはじまらないような静寂がありますが

6節全体の一部になった途端に

夢のきれはしのような

どこかで見た覚えのある光景がよみがえるような

懐かしさが含まれます。

 

 

個別に読んでも成り立つのですが

中原中也はなぜ6節構成の詩にしたのでしょうか。

 

なぜ新しい試みに挑んだのでしょうか。

 

 

途中ですが 

今回はここまで。

 

 

 

 

 

 

 

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