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2017年2月 7日 (火)

立原道造の詩を読む/第2詩集「暁と夕の詩」から「失はれた夜に」続

 

 

灼けた瞳を

 

ある一人の女性のものと読んでよいでしょうか。

 

わざわざそう読まなくてよいでしょうか。

 

ならば、何と読めばよいでしょうか。

 

 

 

 

 

 

「失われた夜に」に初めてふれて

 

これを恋の終りのかなしみの歌と読むのは自然なことでしょう。

 

 

 

それにしても

 

どこまでもそこはかなくて雲の中を行くようです。

 

 

 

そう思わせることこそが

 

立原道造のねらいだったのでしょう。

 

 

 

 

 

 

きらきら 灼けていた

 

――という瞳だけが

 

眠れない夜のしじまの中に浮んでいるようです。

 

 

 

女性の姿形(すがたかたち)の全体であるよりも

 

瞳が灼けていたことだけが

 

今、詩人の脳裏にあるようです。

 

 

 

 

 

 

【現代表記】

 

 

 

失われた夜に

 

 

 

灼(や)けた瞳が 灼けていた

 

青い眸(ひとみ)でも 茶色の瞳でも

 

なかった きらきらしては

 

僕の心を つきさした

 

 

 

泣かそうとでもいうように

 

しかし 泣かしはしなかった

 

きらきら 僕を撫(な)でていた

 

甘ったれた僕の心を嘗(な)めていた

 

 

 

灼けた瞳は 動かなかった

 

青い眸でも 茶色の瞳でも

 

あるかのように いつまでも

 

 

 

灼けた瞳は しずかであった!

 

太陽や香のいい草のことなど忘れてしまい

 

ただかなしげに きらきら きらきら 灼けていた

 

 

 

 

 

 

失はれた夜に

 

 

 

灼(や)けた瞳が 灼けてゐた

 

青い眸(ひとみ)でも 茶色の瞳でも

 

なかつた きらきらしては

 

僕の心を つきさした

 

 

 

泣かさうとでもいふやうに

 

しかし 泣かしはしなかつた

 

きらきら 僕を撫(な)でてゐた

 

甘つたれた僕の心を嘗(な)めていた

 

 

 

灼けた瞳は 動かなかつた

 

青い眸でも 茶色の瞳でも

 

あるかのやうに いつまでも

 

 

 

灼けた瞳は しづかであつた!

 

太陽や香のいい草のことなど忘れてしまひ

 

ただかなしげに きらきら きらきら 灼けてゐた

 

 

 

 

 

(岩波文庫「立原道造詩集」より。)

 

 

 

 

 

 

この項終わり。

 

 

 

 

 

 

 

 

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