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2017年2月13日 (月)

立原道造の詩を読む/「暁と夕の詩」の夜の歌「さまよひ」

 

 

夜の歌が続きます。

 

 

 

第9番詩「さまよひ」は

 

「暁と夕の詩」に初出しました。

 

 

 

雑誌・詩誌などのメディアへの発表の後に

 

詩集に収録されたのではなく

 

「暁と夕の詩」に初めて発表された

 

この詩集のために書かれた詩になります。

 

 

 

 

 

 

Ⅸ さまよひ

 

 

 

夜だ――すべての窓に 燈はうばはれ

 

道が そればかり ほのかに明(あか)く かぎりなく

 

つづいてゐる……それの上を行くのは

 

僕だ ただひとり ひとりきり 何ものをもとめるとなく

 

 

 

月は とうに沈みゆき あれらの

 

やさしい音楽のやうに 微風もなかつたのに

 

ゆらいでゐた景色らも 夢と一しよに消えた

 

僕は ただ 眠りのなかに より深い眠りを忘却を追ふ……

 

 

 

いままた すべての愛情が僕に注がれるとしたら

 

それを 僕の掌(て)はささへるに あまりにうすく

 

それの重みに よろめきたふれるにはもう涸ききつた!

 

 

 

朝やけよ! 早く来い――眠りよ! 覚めよ……

 

つめたい灰の霧にとざされ 僕らを凍らす 粗(あら)い日が

 

訪れるとき さまよふ夜よ 夢よ ただ悔恨ばかりに!

 

 

 

(岩波文庫「立原道造詩集」より。)

 

 

 

 

 

 

【現代表記】

 

 

 

Ⅸ さまよい

 

 

 

夜だ――すべての窓に 燈はうばわれ

 

道が そればかり ほのかに明(あか)く よぎりなく

 

つづいている……それの上を行くのは

 

僕だ ただひとり ひとりきり 何ものをもとめるとなく

 

 

 

月は とうに沈みゆき あれらの

 

やさしい音楽のように 微風もなかったのに

 

ゆらいでいた景色らも 夢と一しょに消えた

 

僕は ただ 眠りのなかに より深い眠りを忘却を追う……

 

 

 

いままた すべての愛情が僕に注がれるとしたら

 

それを 僕の掌(て)はささえるに あまりにうすく

 

それの重みに よろめきたおれるにはもう涸ききった!

 

 

 

朝やけよ! 早く来い――眠りよ! 覚めよ……

 

つめたい灰の霧にとざされ 僕らを凍らす 粗(あら)い日が

 

訪れるとき さまよう夜よ 夢よ ただ悔恨ばかりに!

 

 

 

 

 

 

すべての窓に 燈はうばわれ

 

――というのは

 

家々の窓の灯りばかりは明るいことを歌っているでしょう。

 

 

 

あの灯りをほのかに映している道を

 

ひとり僕は歩いている。

 

 

 

先ほどまで見えていた月は

 

とっくに沈んでしまった……。

 

 

 

 

 

 

どのようにして眠りが僕を訪れたのでしょうか。

 

 

 

夜の中をさまよう魂が

 

深い眠りを追い忘却を追う。

 

 

 

心は涸ききって!

 

 

 

 

 

 

朝焼けよ!

 

 

 

眠りよ!

 

 

 

覚めよ

 

 

 

夜よ

 

 

 

夢よ

 

 

 

悔恨ばかりに!

 

 

 

――と叫んでいます。

 

 

 

 

 

 

最終行は謎めいた言葉使いですが

 

悔恨ばかりに

 

さまよう心のずたずた、なのか?

 

 

 

 

 

 

つづく。

 

 

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