立原道造の詩を読む/第2詩集「暁と夕の詩」の成り立ち
「暁と夕の詩」に収録された詩は
「さすらひ」を除いて
すべてが雑誌や詩誌に発表されたものです。
それを見ておくと、
Ⅰ 或る風に寄せて 「四季」1935年(昭和10年)10月号
Ⅱ やがて秋…… 「四季」1937年(昭和12年)10月号
Ⅲ 小譚詩 「四季」1936年(昭和11年)5月号
Ⅳ 眠りの誘ひ 「むらさき」1937年2月号
Ⅴ 真冬の夜の雨に 「未成年」1936年5月号
Ⅵ 失はれた夜に 「四季」1936年6月号
Ⅶ 溢れひたす闇に 「文芸」1937年7月号
Ⅷ 眠りのほとりに 「四季」1937年6月号
Ⅸ さまよひ
Ⅹ 朝やけ 「四季」1936年春季号
――となります。
(以上、筑摩書房「立原道造全集」第1巻・解題より。)
◇
このうち
「Ⅶ 失はれた夜に」は、
「四季」初出のときには
「ある不思議なよろこびに」のタイトルで
題詞(エピグラフ)に中原中也の詩「無題」の引用がありました。
「Ⅲ 小譚詩」が「四季」に発表されたときには
「暁と夕の詩・第3番」と題に付記されていました。
「Ⅴ 真冬の夜の雨に」は物語「ちいさき花の歌」に初出したとき
末尾に「結びのソネット」とあり
副題に「暁の夕の詩。第5番」(ママ)とありました。
(のちに「未成年」に発表され、「暁と夕の詩」に収録されました。)
「Ⅶ 溢れひたす闇に」は物語「鮎の歌」に初出したとき
「結びのソネット」として末尾にあり
副題に「暁と夕の詩・第7番」とありました。
◇
全10作のうち
1936年5月号「四季」に発表した「小譚詩」に
「暁と夕の詩・第3番」と記されていることなどから
詩集「暁と夕の詩」はこの頃から構想され
編集がはじめられていたものと考えられています。
第1詩集「萱草に寄す」の刊行は
1937年7月ですから
それより以前にすでに第2詩集「暁と夕の詩」は
構想(編集)されていたということになります。
◇
つづく。
« 立原道造の詩を読む/「暁と夕の詩」の最終詩「朝やけ」 | トップページ | 立原道造の詩を読む/「暁と夕の詩」の夕の歌「或る風に寄せて」 »
「058中原中也の同時代/立原道造の詩を読む」カテゴリの記事
- 立原道造の詩を読む/「暁と夕の詩」の5番詩「真冬の夜の雨に」(2017.02.22)
- 立原道造の詩を読む/「暁と夕の詩」の4番詩「眠りの誘ひ」(2017.02.21)
- 立原道造の詩を読む/第2詩集「暁と夕の詩」の成り立ち・その3/風信子(ヒヤシンス)の苦悩(2017.02.21)
- 立原道造の詩を読む/第2詩集「暁と夕の詩」の成り立ち・その2/不思議なジグザグ(2017.02.20)
- 立原道造の詩を読む/「暁と夕の詩」の3番詩「小譚詩」(2017.02.19)
« 立原道造の詩を読む/「暁と夕の詩」の最終詩「朝やけ」 | トップページ | 立原道造の詩を読む/「暁と夕の詩」の夕の歌「或る風に寄せて」 »
コメント