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2017年2月18日 (土)

立原道造の詩を読む/「暁と夕の詩」の2番詩「やがて秋……」

 

 

第1番詩「或る風に寄せて」は

 

夕ぐれが夜に変るたび

 

――とすでに夜を歌いました。

 

 

 

おまえは 西風よ みんななくしてしまった と 

 

――とも。

 

 

 

 

 

 

2番詩は季節(とき)を巡らせます。

 

 

 

 

 

 

Ⅱ やがて秋……

 

 

 

やがて 秋が 来るだらう

 

夕ぐれが親しげに僕らにはなしかけ

 

樹木が老いた人たちの身ぶりのやうに

 

あらはなかげをくらく夜の方に投げ

 

 

 

すべてが不確かにゆらいでゐる

 

かへつてしづかなあさい吐息にやうに……

 

(昨日でないばかりに それは明日)と

 

僕らのおもひは ささやきかはすであらう

 

 

 

――秋が かうして かへつて来た

 

さうして 秋がまた たたずむ と

 

ゆるしを乞ふ人のやうに……

 

 

 

やがて忘れなかつたことのかたみに

 

しかし かたみなく 過ぎて行くであらう

 

秋は……さうして……ふたたびある夕ぐれに――

 

 

 

(岩波文庫「立原道造詩集」より。)

 

 

 





【現代表記】

 

Ⅱ やがて秋……

 

 

 

やがて 秋が 来るだろう

 

夕ぐれが親しげに僕らにはなしかけ

 

樹木が老いた人たちの身ぶりのように

 

あらわなかげをくらく夜の方に投げ

 

 

 

すべてが不確かにゆらいでいる

 

かえってしずかなあさい吐息にように……

 

(昨日でないばかりに それは明日)と

 

僕らのおもいは ささやきかわすであろう

 

 

 

――秋が こうして かえって来た

 

そうして 秋がまた たたずむ と

 

ゆるしを乞う人のように……

 

 

 

やがて忘れなかったことのかたみに

 

しかし かたみなく 過ぎて行くであろう

 

秋は……そうして……ふたたびある夕ぐれに――

 

 

 

 

 

 

夕ぐれが僕らにはなしかける。

 

(――とある僕らとは僕と誰のことでしょうか?)

 

 

 

樹木は夜の方へ遠のいている。

 

 

 

 

 

 

すべてが不確かに揺らいでいるところ。

 

かえって静かな浅い吐息のような時。

 

 

 

昨日ではない(のがはっきりしているのだから)

 

明日であるに違いない。

 

 

 

<過ぎ去った時が戻らないということのなかに明日はあるのだから>と

 

僕らの思いが重なりあう。

 

 

 

 

 

 

秋はここのようにして巡って来た

 

そうして秋はまたたたずむ。

 

 

 

許しを乞う人のように。

 

 

 

 

 

 

やがて忘れなかったことの形として

 

形もなく過ぎていく。

 

 

 

秋は再びある夕ぐれに巡りあう。

 

 

 

 

 

 

「暁と夕の詩」は組曲です。

 

 

 

そのことは第2詩集「暁と夕の詩」のために書かれた

 

詩人自身の名高い覚書に明らかにされています。

 

 

 

詩人はその中でこの詩集のことを

 

独逸風のフルート曲集と記しています。

 

 

 

 

 

 

第1番詩「やがて秋……」の主役は

 

夕ぐれ。

 

 

 

――という時間なのかもしれません。

 

 

 

人(の営み)は背景の中に後退し

 

夕ぐれだけが曲を奏でるかのようです。

 

 

 

 

 

 

つづく。

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