新川和江・抒情の源流/「睡り椅子」の世界/「小さな風景画」追加訂正
「小さな風景画」を読み終えて
大きな(小さな?)間違いに気づきました。
あまりにも巧みにできているので
仕方ないかもしれませんが。
タイトルからしてそうなのですから
1枚の絵が現実に存在し
その絵を「ふたり」で見ながら
描かれた風景の中に没入していった詩人の抒情を読み取ったのでした。
◇
第1連――。
みつめていると
その額縁はまどのように
ふたりの前にひらいているのです
わびしさのきわみの様な此の部屋の
罪の裏さえ晴れやかに明るいのは
どうやら光がそこからさしているためでした
――はよく読むと
額縁は窓のように、とあるので
実際に額縁があるように思いがちですが
どうやら光がそこからさしている
――と終行にあるので
窓が額縁の役割をはたしている情景を
1枚の風景画に見立てたものと読み直した方がよさそうです。
1枚の絵が飾ってある部屋を想像するよりも
窓から射す光の加減から
詩人の想像力の翅(はね)が広がって作られたと読むほうが
正確でありそう。
◇
このように読んでも
全体の読みに修正を加える必要はないでしょう。
◇
その額縁はまどのように
――を文字通り読めば
額縁が主格なのですから
その額縁が窓のようであるという比喩とすんなり思いますが
額縁から光は射して来ないでしょう。
空っぽの額縁が
部屋にあるというのも妙ですし。
わびしさのきわみの様な此の部屋の
罪の裏さえ晴れやかに明るいのは
――という
やや難解な2行が
東京での新生活(新婚)を開示しているとも受け取れますし。
◇
以上を
取り急ぎ付け加えておきます。
◇
途中ですが
今回はここまで。
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