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2017年5月 7日 (日)

中原中也生誕110年に寄せて読む詩・その7/「タバコとマントの恋」

 

 

中原中也が長谷川泰子を知ったのは

大正3年(1924年)のことでした。

 

立命館中学4年に進級した直後のことで

17歳。

 

前年に高橋新吉の詩集「ダダイスト新吉の詩」にふれ

自身もダダイズムの詩を多作しました。

 

 

タバコとマントの恋

 

タバコとマントが恋をした

その筈(はず)だ

タバコとマントは同類で

タバコが男でマントが女だ

或時(あるとき)二人が身投(みなげ)心中したが

マントは重いが風を含み

タバコは細いが軽かったので

崖の上から海面に

到着するまでの時間が同じだった

神様がそれをみて

全く相対界のノーマル事件だといって

天国でビラマイタ

二人がそれをみて

お互の幸福であったことを知った時

恋は永久に破れてしまった。

 

(「新編中原中也全集」第2巻より。新かなに変えました。)

 

 

この詩は明らかに

恋の破綻(はたん)を歌ったものですが

泰子のことであるなら

詩人は泰子を知ったかなり早い時期に

泰子を失っていたということになります。

 

リアリズムの詩ではないでのですから

字義通りに読むのが正解とばかり言えませんが

そのあたりは確証できていないところです。

 

 

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