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2017年8月 9日 (水)

新川和江とその周辺/「始発駅」のころ・1953年の詩人たち/秋谷豊

 

 

 

秋谷豊(あきや・ゆたか)は

1922年(大正11年)、埼玉県鴻巣市に生れました。

 

エベレスト峰への登頂など

のちにアルピニストとしての勇名を馳せ

山岳詩や旅の詩を多数書きました。

 

木原孝一、北村太郎らと同年の生れですから

戦中派ということになり

戦争体験を歌う詩の一群を持ちます。

 

戦前に出発し

「四季」の詩人、立原道造、堀辰雄らの詩に共鳴、

戦後すぐに福田律郎らと「純粋詩」を立ち上げ

1949年にはネオ・ロマンチシズムの旗印を掲げた

「地球」という同人詩誌を創刊しました。

 

 

第1詩集「睡り椅子」を発表した直後の新川和江を

「地球」に誘い出しました。

 

どんな詩を書いた詩人か

詩を読みましょう。

 

 

夏の人

 

今日 燃えつきようとする

夏の日は

あつい画廊の壁にながれ

照り返す

ひまわりの炎のなかで

その風景だけが烈しく光る

 

 それは芥子(けし)色の原野の殺戮(さつりく)

 死の眠りにおちる沈黙の風景

 重くなった銃をかゝかえて

 人は暮れなずむ日射のなかで

 死にかけていた

 輝きと微笑に満ちたその額を

 黒い弾丸がくだき

 告げるべき意志も

 悲哀の声も

 ただ傷口のように 暗く

 地球のむこうへながれていく

 

画廊の固いドアをおして

見しらぬ人が出ていった

かたむく夏の血の中から

木立のくろい夜の中へ

その人は 街角を曲って消える

銃創の腕にこわれた楽器をさげて

 

(中央公論社「日本の詩歌27 現代詩集」より。)

 

 

戦争を経験した者が

戦後になっても

戦争の記憶を消し去ることは出来ず

平穏な日常の暮らしのふとした瞬間に

殺戮の風景がよみがえるのを止めることはできない。

 

銀座かどこかの画廊で見た

ひまわりの絵が

秋谷豊にこの詩を書かせるきっかけになったのでしょうか。

 

戦争を生きのびた詩人は

戦場での経験を

こうして戦後の暮らしの合間に思い出すのです。

 

 

途中ですが

今回はここまで。

 

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