新川和江とその周辺/「始発駅」のころ・1953年の詩人たち/木原孝一の散文詩集「星の肖像」
現代詩文庫47「木原孝一詩集」の「Ⅳ」は
23番目に「勲章」を置き
最終24番目に「断崖」を置いて閉じます。
散文詩集「星の肖像」も
同様の配置なのでしょうか。
「断崖」という詩は一つの恋の終りの彼方に
幾層もの断崖を見はるかして終ります。
◇
と書いたところで
散文詩集「星の肖像」の内容がわかりましたので
ここに記しておきましょう。
1954年に昭森社から発行された散文詩集「星の肖像」は
初版、限定500部、特装版20部の印刷で
北園克衛が装丁しました。
北園克衛とは「VOU」以来の交流が続いていたわけです。
1902年生まれの北園克衛は52歳、
1922年生まれの木原孝一は22歳になる年でした。
◇
38作品が収録されています。
目次は――。
殼
鐘 ●
符号 ●
沈丁花●
時計塔 ●
鍵
会話
灯●
扇
假面●
貝殼●
薔薇
蟻●
煉瓦●
壁画
扉
沙漠●
風景●
水晶
劇場
鳩●
廃船●
縞
巻煙草●
伝説●
懸崖●
古典
鎖●
棕櫚●
砂丘●
橋●
銀杏
眼鏡
歯●
皿●
勲章●
断崖●
覚書
――という内訳になっています。
●印が現代詩文庫47「木原孝一詩集」の「Ⅳ」に収録された作品です。
◇
38作品のうち24作品が
現代詩文庫47「木原孝一詩集」の「Ⅳ」に収録されています。
戦時下の恋をあつかった「沙漠」以下の詩は
幾つか選択されませんでしたが
「Ⅳ」にある詩でほぼ全容が明らかにされていることが言えるでしょう。
木原孝一が1954年に発表した恋愛詩を
1972年の現代詩文庫にも
ほとんど配置したということの意味は
けっこう重要なことでありそうです。
◇
詩人は「星の肖像」を
こよなく愛着していたと言えるのですし
新川和江に
現代の恋愛詩について語ったのもこの頃のことであることが思い出されます。
新川和江によれば
「新川さん、恋愛詩ひとつ書くにしても、なにか、こう、宇宙に通じるようなものを書かなくちゃ、ダメなんだよなァ」と
木原孝一は語りました。
(現代詩文庫64「新川和江詩集」収録「始発駅まで」より。)
◇
そういえば「星の肖像」の詩が
宇宙に通じている恋愛詩に見えてくるではありませんか!
◇
途中ですが
今回はここまで。
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