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2018年1月 7日 (日)

年末年始に読む中原中也/むなしさ

 

 

正月に是非とも読んでおきたいと

長年思い続けて果たさなかったのがこの詩です。

 

難しいからなどという理由が

どこかにあったかもしれません。

 

はじめは歯が立たない感じでしたが

10年ほども頭の中にインプットしていると

それなりにほどけてくるものがあります。

 

そんな詩と幾つか出合いましたし

詩はたいがいそのようなものでもあります。

 

はじめはまったくチンプンカンプンなのに

何度も読み返していると馴染んでくるものです。

 

 

むなしさ

 

臘祭(ろうさい)の夜の 巷(ちまた)に堕(お)ちて

 心臓はも 条網(じょうもう)に絡(から)み

脂(あぶら)ぎる 胸乳(むなぢ)も露(あら)わ

 よすがなき われは戯女(たわれめ)

 

せつなきに 泣きも得せずて

 この日頃 闇(やみ)を孕(はら)めり

遐(とお)き空 線条(せんじょう)に鳴る

 海峡岸 冬の暁風(ぎょうふう)

 

白薔薇(しろばら)の 造花の花弁(かべん)

 凍(い)てつきて 心もあらず

 

明けき日の 乙女の集(つど)い

 それらみな ふるのわが友

 

偏菱形(へんりょうけい)=聚接面(しゅうせつめん)そも

 胡弓(こきゅう)の音(ね) つづきてきこゆ

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)

 

 

この詩を読むポイントを

今回は一つだけ述べておきたいと思います。

 

それは第4連にあります。

 

明けき日の 乙女の集(つど)い

それらみな ふるのわが友

 

この第4連に

この詩の命はあります。

 

 

詩人は第1連で

よすがなきわれは戯女(たわれめ)

――と歌い

自らを戯女(たわれめ)と同一化します。

 

自身が戯女になっているのです。

 

 

この女性たちが第4連で

明けき日の集い(新年会)に参じるのですが

そこにいる女性たちのことを古い友達と呼んでいます。

 

われはたわれめであると宣言した上に

ここでは古くからの友達であることを確認しているのです。

 

 

この詩は

ここのところを押さえれば

あとは横浜という街の情景が歌われるだけです。

 

 

臘祭(ろうさい)の夜の巷

明けき日の乙女の集(つど)い

――で大晦日から元旦という時。

 

海峡岸 冬の暁風(ぎょうふう)

――で海岸沿いという場所。

 

偏菱形(へんりょうけい)=聚接面(しゅうせつめん)

胡弓(こきゅう)の音(ね)

――で中華街の映像と音。

 

年末年始の横浜の風景が

鷲づかみに捉えられています。

 

 

この詩を読むのには

どうしても以上のような言葉の意味を理解することが先決になり

それに労力を費やすことになりますから

詩から尻込みすることになり

詩から遠ざかりはじめてしまいがちです。

 

 

これらの言葉遣いが馴染めない時期は

だれにでもあることですから

それはとりあえずはほっといていいのです。

 

言葉遣いにたじろぐことはありません。

 

やがて大胆な表現であることに気づくことになり

圧倒されることになりますし

朗誦するほどの味わいが出てくるはずです。

 

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