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2018年1月10日 (水)

年末年始に読む中原中也/冷たい夜

 

 

なぜ人は悲しむのでしょうか。

 

埒(らち)のあかない問いを問い始めるときに

中也のこの詩は

不思議にやすらぎを与えてくれます。

 

 

冷たい夜

 

冬の夜に

私の心が悲しんでいる

悲しんでいる、わけもなく……

心は錆(さ)びて、紫色をしている。

 

丈夫な扉の向うに、

古い日は放心している。

丘の上では

棉(わた)の実が罅裂(はじ)ける。

 

此処(ここ)では薪(たきぎ)が燻(くすぶ)っている、

その煙は、自分自らを

知ってでもいるようにのぼる。

 

誘われるでもなく

覓(もと)めるでもなく、

私の心が燻る……

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)

 

 

この詩で燻るというのは

なにか悲しみの向うへ行く糸口のような――。

 

心は錆(さ)びて、紫色をしている。

――という状態が

悲しみの状態そのものであるとすれば

そことは違う心の状態への足がかりであるような――。

 

綿の実がはじける

うららかな暖(あたた)かな時間へ

こころが向かう兆(きざ)しのようです。

 

悲しみの底に底はなく

いつしか

誘われるでもなく

覓(もと)めるでもなく

燻りはじめる……。

 

 

悲しみの時間は

無限のものではないよ

思いっきり悲しめばいいよ

――とでも言っているかのように読めることがあります。

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