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2018年1月13日 (土)

年末年始に読む中原中也/早春の風

 

 

大寒波が関東地方にもやってきましたが

このころになると

これが頂点なのだから

春の訪れも間近なことを感じるようになりますね。

 

もちろんまだ一度や二度や

大雪の降ることはあるのでしょうが

蝋梅(ろうばい)が咲きこぼれ

紅梅の香が住宅地のどこからともなく洩れ匂うのに出くわしては

胸のふくらむ心地を止(とど)めることはできません。

 


早春の風

 

  きょう一日(ひとひ)また金の風

 大きい風には銀の鈴

きょう一日また金の風

 

  女王の冠さながらに

 卓(たく)の前には腰を掛け

かびろき窓にむかいます

 

  外(そと)吹く風は金の風

 大きい風には銀の鈴

きょう一日また金の風

 

  枯草(かれくさ)の音のかなしくて

 煙は空に身をすさび

日影たのしく身を嫋(なよ)ぶ

 

  鳶色(とびいろ)の土かおるれば

 物干竿(ものほしざお)は空に往(ゆ)き

登る坂道なごめども

 

  青き女(おみな)の顎(あぎと)かと

 岡に梢(こずえ)のとげとげし

今日一日また金の風……

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)

 

 

第2連に、

女王の冠

かびろき窓

――とあり

 

最終連に、

青き女(おみな)の顎(あぎと)

――とあるなど

この詩にも謎のような詩語が見られますが

実生活のなかに類例を探そうとすると

混乱を招くかもしれません。

 

すんなりと詩世界に入り込んでしまうほうが

勝ちです。

 

 

すでに「春の夜」(山羊の歌)には

かびろき胸のピアノ鳴り

――の詩行がありましたから

この流れに沿う女性を思い浮かべることも可能でしょうし

 

青き女は

「青い瞳」(在りし日の歌)や

「六月の雨」に現われる女性のような存在を思い出すことも可能でしょう。

 

あるいは

「含羞(はじらい)」に

幹々は いやにおとなび彳(た)ちいたり

姉らしき色 きみはありにし

――とある姉の流れの女性を想起してもおかしくないかもしれません。

 

この女性がだれであるかと

実人生に探そうとする努力を否定するものではありませんが

詩の中の存在は詩の中でそれだけでも生きていますから

その正体が特定できなくても

十分に味わうことができるのですから

無駄な抵抗はやめれば

詩のなかに入っていけるというものです。

 

 

それにしても

青き女とはよくぞ言ったものですね。

 

金の風

銀の風

鳶色(とびいろ)の土

――とならべて

青き女です。

 

ますます謎が深まるではありませんか!

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