中原中也・詩の宝島/ジュピター神の砲(ひづつ)/「冬の明け方」
朝4時半に起床すると
空はまだ漆黒の闇です。
まずは髭をそり
熱い茶をすすってから
昼の弁当をこしらえたりしているうちに
1時間ほどがあっという間に過ぎてゆきます。
家を出て
40分ほど歩くと職場の駐輪場につきます。
3日に1度のアルバイトで気楽なものといえば気楽ですが
冬場はそれなりに厳しいもので
天候が格別気になります。
東の空を見ては
雲の状態を確かめ
日の出を待望するのです。
◇
2018年2月14日の日の出は6:29、
丁度始業の時刻です。
明日2月22日の日の出は
6:20ですから
およそ1週間で9分ほど早まっていることになります。
職場に入るのが6:15ころ、
準備して仕事につく6:30には
夜が明けて空が白むのです。
◇
中原中也が「冬の朝」でさり気なく歌った
ジュピター神の砲(ひづつ)――。
その号砲が鳴り響く前の
静寂。
陽光を待望する
ものみな謙抑(けんよく)の時。
おお、ジュピター!
陽が現われる瞬間の
歓喜。
◇
今回はここまで。
◇
冬の明け方
残(のこ)んの雪が瓦(かわら)に少なく固く
枯木の小枝が鹿のように睡(ねむ)い、
冬の朝の六時
私の頭も睡い。
烏(からす)が啼(な)いて通る――
庭の地面も鹿のように睡い。
――林が逃げた農家が逃げた、
空は悲しい衰弱。
私の心は悲しい……
やがて薄日(うすび)が射し
青空が開(あ)く。
上の上の空でジュピター神の砲(ひづつ)が鳴る。
――四方(よも)の山が沈み、
農家の庭が欠伸(あくび)をし、
道は空へと挨拶する。
私の心は悲しい……
(「新編中原中也全集」第1巻より。新かなに変えてあります。)
« 年末年始に読む中原中也/含羞(はじらい)・その8 | トップページ | 中原中也・詩の宝島/ジュピター神の砲(ひづつ)/「冬の明け方」その2 »
「064面白い!中也の日本語」カテゴリの記事
- 中原中也・詩の宝島/ベルレーヌーの足跡(あしあと)/「ポーヴル・レリアン」その3(2018.08.11)
- 中原中也・詩の宝島/ランボーの足跡(あしあと)/「心象」の空(2018.06.28)
- 中原中也・詩の宝島/ランボーの足跡(あしあと)/「少年時」から「夏」へ(2018.06.27)
- 中原中也・詩の宝島/ランボーの足跡(あしあと)/「失せし希望」の空(2018.06.24)
- 中原中也・詩の宝島/ランボーの足跡(あしあと)/「木蔭」の空(2018.06.23)
« 年末年始に読む中原中也/含羞(はじらい)・その8 | トップページ | 中原中也・詩の宝島/ジュピター神の砲(ひづつ)/「冬の明け方」その2 »
コメント