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2018年3月17日 (土)

中原中也・詩の宝島/「ノート1924」ダダ脱皮の道・続続続続/「無題(緋のいろに)」



昭和2、3年(1927、28年)ごろに計画され

結局は陽の目を見なかった詩集のために作られた詩篇が

「ノート1924」の末尾に書かれてあり

その詩篇を読んできましたが

最後の作品になります。

 

 

無 題

 

緋(ひ)のいろに心はなごみ

蠣殻(かきがら)の疲れ休まる

 

金色の胸綬(コルセット)して

町を行く細き町行く

 

死の神の黒き涙腺(るいせん)

美しき芥(あくた)もみたり

 

自らを恕(ゆる)す心の

展(ひろが)りに女を据(す)えぬ

 

緋の色に心休まる

あきらめの閃(ひらめ)きをみる

 

静けさを罪と心得(こころえ)

きざむこと善(よ)しと心得

 

明らけき土の光に

浮揚する

   蜻蛉となりぬ

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

 

 

心はなごみ、とあり

心休まる、とある緋のいろ(色)は

おそらく遊女がはおる着物のことでしょう。

 

詩人は折々に

横浜の娼婦の街へ遊んだことが知られています。

 

名作「むなしさ」は

この詩の書かれたころに作られました。

 

心なごみ、心休まる場所で

横浜の街はあったのです。







女性たちの着る緋色の衣装が

いつしか赤とんぼの緋に成り代わる最終行が

見事です!



横浜のその土地(明るい土)の光に溶け込んで

詩人は空に浮んでいる蜻蛉(あきつ又はトンボ)になったのでした。

 

 

今回はここまで。

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