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2018年6月23日 (土)

中原中也・詩の宝島/ランボーの足跡(あしあと)/「木蔭」の空

 

◇

 

木蔭

 

神社の鳥居が光をうけて

楡(にれ)の葉が小さく揺すれる

夏の昼の青々した木蔭(こかげ)は

私の後悔を宥(なだ)めてくれる

 

暗い後悔 いつでも附纏(つきまと)う後悔

馬鹿々々しい破笑(はしょう)にみちた私の過去は

やがて涙っぽい晦暝(かいめい)となり

やがて根強い疲労となった

 

かくて今では朝から夜まで

忍従(にんじゅう)することのほかに生活を持たない

怨みもなく喪心(そうしん)したように

空を見上げる私の眼(まなこ)――

 

神社の鳥居が光をうけて

楡の葉が小さく揺すれる

夏の昼の青々した木蔭は

私の後悔を宥めてくれる

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えました。編者。)

 

◇

 

「木蔭」の現在は

神社の森で

楡の木蔭に詩人はいます。

 

木蔭が

後悔をやわらげてくれる――。

 

そのことを歌う現在なのですが

木蔭が与えてくれる

安らぎのひとときの背後には

馬鹿々々しい破笑にみちた私の過去があります。

 

やすらぎの現在を歌うのですが

その裏には

後悔ばかりの過去が

ぎゅうぎゅう詰めに犇めいています。

 

後悔はいつまでもつきまとい

涙っぽい晦冥の日々。

 

忍従

喪失

……。

 

◇

 

身心ともに疲労の極に

詩人はあります。

 

たった今

木蔭のやすらぎの中にある詩人のこころは

後悔にめげそうです。

 

こころは折れそうになり

空を見上げるばかりです。

 

◇

 

空に

いったい

何が見えるでしょうか。

 

◇

 

途中ですが

今回はここまで。

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