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2018年10月27日 (土)

中原中也・詩の宝島/ベルレーヌの足跡(あしあと)/補足1・金子光晴その9

 

 

 

富永太郎は、小林秀雄や河上徹太郎というような仲間をもっていた。この流れをひいた作

家に、ヱ゛ルレエヌとラフォルグの月光を浴びた中原中也がある。

 

(「金子光晴全集」第10巻「現代詩の鑑賞」より。以下同。)

 

 

金子光晴は

中原中也をこのように紹介し

「サーカス」

「正午 丸ビル風景」

――の2作を呼び出します。

 

 

サーカス

      中原中也

 

幾時代かがありまして

  茶色い戦争ありました

 

幾時代かがありまして

  冬は疾風吹きました

 

幾時代かがありまして

  今夜此処での一と殷盛(さか)り

    今夜此処での一と殷盛り

 

サーカス小屋は高い梁

  そこに一つのブランコだ

見えるともないブランコだ

 

頭倒さに手を垂れて

  汚れ木綿の屋蓋のもと

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

 

それの近くの白い灯が

   安値いリボンと息を吐き

 

観客様はみな鰯

  咽喉が鳴ります牡蠣殻と

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

 

       屋外は真ッ闇 闇の闇

       夜は劫々と更けまする

       落下傘奴のノスタルジアと

       ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

 

 

正 午

       丸ビル風景

 

あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ

ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ

月給取の午休み、ぷらりぷらりと手を振つて

あとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ

大きなビルの真ツ黒い、小ツちやな小ツちやな出入口

空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃りも少々立つている

ひよんな眼付で見上げても、眼を落としても……

なんのおのれが桜かな、桜かな桜かな

あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ

ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ

大きなビルの真ツ黒い、小ツちやな小ツちやな出入口

空吹く風にサイレンは、響き響きて消えてゆくかな

 

(同。)

 

 

金子光晴がまず言うのは

この2篇の詩が

1、(ベルレーヌというよりは)ラフォルグを思わせ

2、「海潮音」(の影響)がどこかにあり

3、白秋小唄ものぞいている

――ということですが

それらがすっかり中也のものになっているというところです。

 

中也のものであるから救われているというところです。

 

そして、

 

詩人としては月光派で

その特質、人みしりするさびしがりやで、

実生活の欲望がつよいのに

渡りかたは下手という悲劇的な矛盾をもって生まれてきた

――とテキストを離れた人物像が述べられます。

 

交流を持たなかったにしては断言的に

中原中也のネガティブなイメージが言及されます。

 

さらには、

 

詩人というのはすこし変だ、という見本のような男だったらしい。

――と風聞か文学仲間の噂か

中也の武勇伝は知る人ぞ知るだったのですから

多少オーバーに言われても仕方ないことですが

「らしい」と推量語を加えているところは

金子光晴の経験主義を露わにしたということでしょうか。

 

中原中也が月光派の流れに置かれ

ランボーにも触れられることなく

ラフォルグを見るところに

金子光晴という詩人の鋭さ(個性)はあるということかもしれません。

 

月下の群の流れを追っていくと

昭和初期の作家である中原中也や

三好達治、立原道造ら

「四季」派までたどることができるということで

この部分を書き進めたと金子光晴は断っているのですから

高い評価の現われと受け止めればよいのでしょうか。

 

 

中原中也は

「四季」派につながりがあるらしいと

同じように推量しながら

 

「四季」が出たのは僕が丁度ヨーロッパに行っている留守の出来事なので、詳しいことを説

明することができない。

――と限定していることも考慮しましょう。

 

 

途中ですが

今回はここまで。

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