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2018年11月28日 (水)

中原中也・詩の宝島/ベルレーヌの足跡(あしあと)/補足2・橋本一明の読み・その5

 

 

 

神さまが私に言った……

 

 

神さまが私に言った 《わが子よ 私を愛さねばならぬ

おまえには見えている つらぬかれた私のわきばらが

かがやいて血を流す私の心が マドレーヌが涙で洗う

傷ついた私の足が おまえの罪の重みを支えてくるしんでいる

 

私の腕が  私の両手が! おまえには見えている 十字架が

釘が また胆汁が 海綿が そしてすべてがおまえに教える

肉の支配するこのくるしい地上にあっては

ただ私の肉と私の血 私の言葉と私の声のみを愛せよ と

 

私は死にいたるまでおまえを愛しはしなかったか?

おお 《父》による兄弟よ 精霊によるわが子よ

私は書(ふみ)に記されたるごとくくるしみを受けはしなかったか?

 

私はおまえのさいごのくるしみをしずかに泣きはしなかったか?

おまえの夜ごとの汗を 汗ばみ流しはしなかったか?

おお 私のいるところで私をさがしもとめているいたましい友よ》

 

(角川書店「世界の詩集8・ヴェルレーヌ詩集」より。原作のルビのほとんどを省略しまし

た。編者。)

 

 

以上は

橋本一明訳の「かしこさ」にある詩の

冒頭節です。

 

ベルレーヌの詩に親しんでいて

名作の誉れ高い「叡智」(これは河上徹太郎の訳)ですが

どうにもとっつき難く

また今度読もうまた今度にしようと敬遠していたところ

橋本一明のこの訳にであって

最後まで一気に読んでしまいました。

 

この詩が

「ヴェルレーヌ詩集」の中でも

最も長い詩であることに気づいたのは

読み終わってからのことですが

イエスの物語をほとんど知らない者にも

ベルレーヌのこの詩は

わかりやすく神さまの言葉を伝えてくれるし

橋本一明の翻訳の平明さを心がける意図が理解できたことを

まずは記しておこうと思いました。

 

 

この詩に付された

橋本一明の注を記しておきます。

 

 

第1詩節《マドレーヌ》はイエズスの死と埋葬に立ち会ったマグダラのマリアのこと。第2詩

節《十字架》《釘》《胆汁》《海綿》はいわゆる受難道具、イエズス受難の際に用いられたも

ので、信仰の対象になっている。

 

 

第1節に親しみを感じられれば

次の第2節へも

自然な姿勢で読み進むことができるでしょう。

 

 

私はこたえた 《主よ あなたは私の魂を語りたもうた

私があなたをさがし なお見つけていないのは真実です

しかしあなたを愛せよとは! ごらんください 私の

いかに低きにおりますことか その愛がいつも炎のようにたちのぼるあなた

 

あなた あらゆる喉の渇きにもとめられる平和の泉よ

ああ! ごらんください 私のみじめなたたかいのかずかずを!

けがわらしくもはいずりまわって血を流したこの膝をつき

この私があなたの足跡を崇(あが)めまつるというのでしょうか?

 

しかし私は長いあいだまさぐってあなたをさがしもとめております

せめてみ影に私の恥辱をおおっていただきたいのです しかし

おお 愛のたちのぼるあなた あなたには影がありませぬ

 

おお あなた しずかな泉よ 己(おのれ)の断罪を愛するものにのみ

にがい泉よ おお あなた ただ罪の重いくちづけに

瞼(まぶた)をとじるひとみをのぞき あまねくかがやくすべての光よ!》

 

 

全部で9節(第7節はソネット3篇、第9節は1行のみの構成)の詩に

何回かに分けて目をとおしましょう。

 

 

途中ですが

今回はここまで。

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