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2018年12月 1日 (土)

中原中也・詩の宝島/ベルレーヌの足跡(あしあと)/補足2・橋本一明の読み・その7

 

 

橋本一明は

この詩が収められた詩集「かしこさ」を

ヴェルレーヌ作品の頂上と評価し

ヴェルレーヌの全生涯を通じて

これほどの均衡を見せる詩集はないと絶賛するなかで

次のように記しています。

 

 

収録の詩は73年のブリュッセルの銃撃事件により投獄された頃から1880年までの作

品だが、大部分は75年以降出獄後の作品でしめられている。詩人は獄中で改宗し、熱

烈な信仰をえたが、この期間はその信仰ゆえに彼の生涯でもっとも心の平穏さを保ちえ

た歳月だった。

 

 

このように前置きして

この時期のベルレーヌの生活についての

エピソードを紹介します。

 

 

彼は聖トマス・アクィナスに没頭し、聖テレジアの著作を買いこみ、その他の教理に読み

耽ったという。こういう生活が彼にダンテの『神曲』のような作品を構想させるのはむしろ当

然で、彼は《アダムとイヴ以来現代までを包含する》ヴィクトル・ユゴーの『諸世紀の伝説』

のような作品を書こうと考えた。しかし、これは結局実現されず、作られたものは知的生活

の隙をこぼれた抒情詩集だった。

 

(角川書店「世界の詩集8・ヴェルレーヌ詩集」より。)

 

 

ベルレーヌの詩の橋本一明訳「神さまが私に言った……」を

読み進めましょう。

 

 

 

――私を愛さなければならない 私はおまえに《狂ったものたち》と

呼ばれたもの 私こそその古い男を食う新しいアダム

おまえのローマ おまえのパリ おまえのスパルタ おまえのソドム

おそろしい罪の料理にかこまれて石をもて打たれる貧しいもの

 

私の愛は 心ないすべての肉を永劫に焼きつくし

たちのぼる香気のように散らし消す火

これこそは かつて私のまいた悪の芽を

すべて波間にのみつくす 洪水

 

いつの日か 私の死ぬ十字架の立てられるため

そしてまた 善心のおそろしい奇蹟によって

いつの日か わななき従順なおまえを私のものとするため

 

愛せ おまえの夜を出よ 愛せ 見捨てられたあわれな魂

これこそ永遠の私の思いだ 愛さねばならぬ

私をのみ この地にとどまった私をのみ!

 

 

主よ おそろしい 魂は私のなかでおののいています

わかります あなたを愛さねばならぬと感じています だが

どうやってそれをするのでしょうか? おお 神さま

善良なものたちの徳が恐れる正義よ 私が あなたの恋人が

 

そう どうやってするのでしょうか? なぜなら いま

私の心が埋葬のため掘っていた天蓋(てんがい)がくずれて行くのです

私にむかって天空がみなぎり寄せるのを感じるのです

申し上げます あなたから私まで 道はどんなでありましょう?

 

手をおのべください 私がこのうずくまる肉を

この病める精神をたたせることができますように!

いつか天の抱擁を受けることがいったい可能でありましょうか

 

いったい可能でありましょうか? いつかあなたの胸にいだかれ

かつて私たちのものであったあなたの心にもたれて

かの使徒が頭を休めたあの場所をもういちど見つけることが

 

 

「六」の最終詩句にも

橋本一明は注を加えています。

 

 

《かの使徒が頭を休めたあの場所》とは使徒ヨハネが頭を休めたところ、つまり主の御胸。

 

 

使徒たちの営みについては

聖書や教会や普段の暮らしのなかで親しく息づいていることが

容易に想像されますが

ベルレーヌはこの頃

書物を通じてイエスや使徒たちの活動を

読み漁ったのでしょう。

 

 

途中ですが

今回はここまで。

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