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2019年10月16日 (水)

中原中也/秋の詩名作コレクション23/(宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて)

(宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて)

宵(よい)に寝て、秋の夜中に目が覚めて
汽車の汽笛の音(ね)を聞いた。

  三富朽葉(くちば)よ、いまいずこ、
  明治時代よ、人力も
  今はすたれて瓦斯燈(ガスとう)は
  記憶の彼方(かなた)に明滅す。

宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて
汽車の汽笛の音を聞いた。

  亡き明治ではあるけれど
  豆電球をツトとぼし
  秋の夜中に天井を
  みれば明治も甦る。

  ああ甦れ、甦れ、
  今宵故人が風貌(ふうぼう)の
  げになつかしいなつかしい。
  死んだ明治も甦れ。

宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて
汽車の汽笛の音を聞いた。

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
  

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