カテゴリー

2023年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 中原中也/秋の詩名作コレクション29/京浜街道にて | トップページ | 中原中也/秋の詩名作コレクション31/秋岸清凉居士 »

2019年10月21日 (月)

中原中也/秋の詩名作コレクション30/(小川が青く光っているのは)

(小川が青く光っているのは)

小川が青く光っているのは
あれは、空の色を映しているからなんだそうだ。

山の彼方(かなた)に、雲はたたずまい、
山の端(は)は、あの永遠の目(ま)ばたきは、
却(かえっ)て一本(ひともと)の草花に語っていた。

一本の草花は、広い畑の中に、
咲いていた。――葡萄畑(ぶどうばたけ)の、
あの唇(くちびる)黒い老婆に眺めいらるるままに。

レールが青く光っているのは、
あれは、空の色を映して青いんだそうだ。

秋の日よ! 風よ!
僕は汽車に乗って、富士の裾野(すその)をとおっていた。

(一九三三・一〇)

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
  

« 中原中也/秋の詩名作コレクション29/京浜街道にて | トップページ | 中原中也/秋の詩名作コレクション31/秋岸清凉居士 »

063中原中也の秋の詩/名作コレクション」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 中原中也/秋の詩名作コレクション29/京浜街道にて | トップページ | 中原中也/秋の詩名作コレクション31/秋岸清凉居士 »