中原中也/秋の詩名作コレクション10/秋の日
秋の日
秋の日は 白き物音
むきだせる 舗石(ほせき)の上に
人の目の 落ち去りゆきし
ああ すぎし 秋の日の夢
空にゆき 人群(ひとむれ)に分け
いまここに たどりも着ける
老の眼の 毒ある訝(いぶか)り
黒き石 興(きょう)をおさめて
ああ いかに すごしゆかんかな
乾きたる 砂金は頸(くび)を
めぐりてぞ 悲しきつつましさ
涙腺(るいせん)をみてぞ 静かに
あきらめに しりごむきょうを
ああ天に 神はみてもある
(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
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