中原中也/秋の詩名作コレクション4/秋の日曜
秋の日曜
私の部屋の、窓越しに
みえるのは、エヤ・サイン
軽くあがった 二つの気球
青い空は金色に澄み、
そこから茸(きのこ)の薫(かお)りは生れ、
娘は生れ夢も生れる。
でも、風は冷え、
街はいったいに雨の翌日のようで
はじめて紹介される人同志はなじまない。
誰もかも再会に懐(なつか)しむ、
あの貞順(ていじゅん)な奥さんも
昔の喜びに笑いいでる。
(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。 新かなに変えてあります。)
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