中原中也/秋の詩名作コレクション22/(月の光は音もなし)
(月の光は音もなし)
月の光は音もなし、
虫の鳴いてる草の上
月の光は溜(たま)ります
虫はなかなか鳴きまする
月ははるかな空にいて
見てはいますが聞こえない
虫は下界のためになき、
月は上界照らすなり、
虫は草にて鳴きまする。
やがて月にも聞えます、
私は虫の紹介者
月の世界の下僕(げぼく)です。
(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
« 中原中也/秋の詩名作コレクション21/秋の夜 | トップページ | 中原中也/秋の詩名作コレクション23/(宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて) »
「063中原中也の秋の詩/名作コレクション」カテゴリの記事
- 中原中也/秋の詩名作コレクション58/道化の臨終(Etude Dadaistique)(2019.11.16)
- 中原中也/秋の詩名作コレクション57/秋を呼ぶ雨(2019.11.13)
- 中原中也/秋の詩名作コレクション56/暗い天候(二・三)(2019.11.12)
- 中原中也/秋の詩名作コレクション55/米 子(2019.11.11)
- 中原中也/秋の詩名作コレクション54/一つのメルヘン(2019.11.10)
« 中原中也/秋の詩名作コレクション21/秋の夜 | トップページ | 中原中也/秋の詩名作コレクション23/(宵に寝て、秋の夜中に目が覚めて) »
コメント