中原中也・雨の詩の名作コレクション/雨と風
雨と風
雨の音のはげしきことよ
風吹けば ひとしおまさり
風やめばつと和(なご)みつつ
雨風のさわがしき音よ
――悲しみに呆(ほう)けし我に、
雨風のさわがしき音よ!
悲しみに呆けし我の
思い出はかそけきものよ
それに似て巷(ちまた)も家も
雨風にかすんでみえる
そがかすむ風情(ふぜい)の中に、
ちらと浮むわがありし日は
風の音に吹きけされつつ
雨の音と、我(あ)と、残るのよ
(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
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