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2019年11月17日 (日)

中原中也・雨の詩の名作コレクション/(南無 ダダ)

(南無 ダダ)

南無 ダダ
足駄(あしだ)なく、傘なく
  青春は、降り込められて、
 水溜(たま)り、泡(あぶく)は
    のがれ、のがれゆく。

人よ、人生は、騒然たる沛雨(はいう)に似ている
  線香を、焚(た)いて
       部屋にはいるべきこと。

色町(いろまち)の女は愛嬌(あいきょう)、
 この雨の、中でも挨拶をしている
青い傘

  植木鉢も流れ、
     水盤も浮み、
 池の鯉はみな、逃げてゆく

永遠に、雨の中、町外れ、出前持ちは猪突(ちょとつ)し、
         私は、足駄なく傘なく、
      茲(ここ)、部屋の中に香を焚いて、
 チュウインガムも噛みたくはない。

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

 

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