中原中也・朝の詩の名作23/(風が吹く、冷たい風は)
(風が吹く、冷たい風は)
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風が吹く、冷たい風は
窓の硝子(ガラス)に蒸気を凍りつかせ
それを透かせてぼんやりと
遠くの山が見えまする汽車の朝
僕の希望も悔恨も
もう此処(ここ)までは従(つ)いて来ぬ
僕は手ぶらで走りゆく
胸平板(むねへいばん)のうれしさよ
昨日は何をしたろうか日々何をしていたろうか
皆目僕は知りはせぬ
胸平板のうれしさよ
(汽車が小さな駅に着いて、散水車がチョコナンとあることは、
小倉(こくら)服の駅員が寒そうであることは、幻燈風景
七里結界に係累はないんだ)
(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
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