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2019年12月 5日 (木)

中原中也・朝の詩の名作2/臨 終

臨 終

秋空は鈍色(にびいろ)にして
黒馬(くろうま)の瞳のひかり
  水涸(か)れて落つる百合花(ゆりばな)
  ああ こころうつろなるかな

神もなくしるべもなくて
窓近く婦(おみな)の逝(ゆ)きぬ
  白き空盲(めし)いてありて
  白き風冷たくありぬ

窓際に髪を洗えば
その腕の優しくありぬ
  朝の日は澪(こぼ)れてありぬ
  水の音(おと)したたりていぬ

町々はさやぎてありぬ
子等(こら)の声もつれてありぬ
  しかはあれ この魂はいかにとなるか?
  うすらぎて 空となるか?

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)

 

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