中原中也・朝の詩の名作13/閑 寂
閑 寂
なんにも訪(おとな)うことのない、
私の心は閑寂(かんじゃく)だ。
それは日曜日の渡り廊下、
――みんなは野原へ行っちゃった。
板は冷たい光沢(つや)をもち、
小鳥は庭に啼いている。
締めの足りない水道の、
蛇口の滴(しずく)は、つと光り!
土は薔薇色(ばらいろ)、空には雲雀(ひばり)
空はきれいな四月です。
なんにも訪(おとな)うことのない、
私の心は閑寂だ。
(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)
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