カテゴリー

2023年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 中原中也・朝の詩の名作18/或る心の一季節――散文詩 | トップページ | 中原中也・朝の詩の名作20/幻 想 »

2019年12月22日 (日)

中原中也・朝の詩の名作19/死別の翌日

死別の翌日

生きのこるものはずうずうしく、
死にゆくものはその清純さを漂(ただよ)わせ
物云いたげな瞳を床にさまよわすだけで、
親を離れ、兄弟を離れ、
最初から独りであったもののように死んでゆく。

さて、今日は良いお天気です。
街の片側は翳(かげ)り、片側は日射しをうけて、あったかい
けざやかにもわびしい秋の午前です。
空は昨日までの雨に拭(ぬぐ)われて、すがすがしく、
それは海の方まで続いていることが分ります。

その空をみながら、また街の中をみながら、
歩いてゆく私はもはや此(こ)の世のことを考えず、
さりとて死んでいったもののことも考えてはいないのです。
みたばかりの死に茫然(ぼうぜん)として、
卑怯(ひきょう)にも似た感情を抱いて私は歩いていたと告白せねばなりません。

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

 

« 中原中也・朝の詩の名作18/或る心の一季節――散文詩 | トップページ | 中原中也・朝の詩の名作20/幻 想 »

066中原中也・朝の詩の名作コレクション」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 中原中也・朝の詩の名作18/或る心の一季節――散文詩 | トップページ | 中原中也・朝の詩の名作20/幻 想 »