中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション4/夕 照
夕 照
丘々は、胸に手を当て
退(しりぞ)けり。
落陽(らくよう)は、慈愛(じあい)の色の
金のいろ。
原に草、
鄙唄(ひなうた)うたい
山に樹々(きぎ)、
老いてつましき心ばせ。
かかる折(おり)しも我(われ)ありぬ
少児(しょうに)に踏まれし
貝の肉。
かかるおりしも剛直(ごうちょく)の、
さあれゆかしきあきらめよ
腕拱(く)みながら歩み去る。
(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)
« 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション3/凄じき黄昏 | トップページ | 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション5/春の思い出 »
「068中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション」カテゴリの記事
- 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション53/(短歌五首)(2020.02.24)
- 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション52/夏の夜の博覧会はかなしからずや(2020.02.23)
- 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション51/(秋が来た)(2020.02.22)
- 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション50/初恋集 むつよ(2020.02.21)
- 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション49/(一本の藁は畦の枯草の間に挟って)(2020.02.20)
« 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション3/凄じき黄昏 | トップページ | 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション5/春の思い出 »
コメント