中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション20/村の時計
村の時計
村の大きな時計は、
ひねもす動いていた
その字板(じいた)のペンキは
もう艶(つや)が消えていた
近寄ってみると、
小さなひびが沢山にあるのだった
それで夕陽が当ってさえが、
おとなしい色をしていた
時を打つ前には、
ぜいぜいと鳴った
字板が鳴るのか中の機械が鳴るのか
僕にも誰にも分らなかった
(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)
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