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2020年1月 2日 (木)

中原中也・朝の詩の名作30/春と恋人

春と恋人

 

美しい扉の親しさに

私が室(へや)で遊んでいる時、

私にかまわず実ってた

新しい桃があったのだ……

 

街の中から見える丘、

丘に建ってたオベリスク、

春には私に桂水くれた

丘に建ってたオベリスク……

蜆(しじみ)や鰯(いわし)を商(あきな)う路次の

びしょ濡れの土が歌っている時、

かの女は何処(どこ)かで笑っていたのだ

 

港の春の朝の空で

私がかの女の肩を揺ったら、

真鍮(しんちゅう)の、盥(たらい)のようであったのだ……

 

以来私は木綿の夜曲?

はでな処(とこ)には行きたかない……

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

 

 

 

 

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