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2020年1月 4日 (土)

中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション2/黄 昏

黄 昏

 

渋った仄暗(ほのぐら)い池の面(おもて)で、

寄り合った蓮(はす)の葉が揺れる。

蓮の葉は、図太いので

こそこそとしか音をたてない。

 

音をたてると私の心が揺れる、

目が薄明るい地平線を逐(お)う……

黒々と山がのぞきかかるばっかりだ

――失われたものはかえって来ない。

 

なにが悲しいったってこれほど悲しいことはない

草の根の匂いが静かに鼻にくる、

畑の土が石といっしょに私を見ている。

 

――竟(つい)に私は耕やそうとは思わない!

じいっと茫然(ぼんやり)黄昏(たそがれ)の中に立って、

なんだか父親の映像が気になりだすと一歩二歩歩(あゆ)みだすばかりです

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)

 

 

 

 

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