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2020年1月30日 (木)

中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション28/或る夜の幻想(1・3)

或る夜の幻想(1・3)

 

1 彼女の部屋

 

彼女には

美しい洋服箪笥(ようふくだんす)があった

その箪笥は

かわたれどきの色をしていた

 

彼女には

書物や

其(そ)の他(ほか)色々のものもあった

が、どれもその箪笥(たんす)に比べては美しくもなかったので

彼女の部屋には箪笥だけがあった

 

   それで洋服箪笥の中は

   本でいっぱいだった

 

3 彼 女

 

野原の一隅(ひとすみ)には杉林があった。

なかの一本がわけても聳(そび)えていた。

 

或(あ)る日彼女はそれにのぼった。

下りて来るのは大変なことだった。

 

それでも彼女は、媚態(びたい)を棄てなかった。

一つ一つの挙動(きょどう)は、まことみごとなうねりであった。

 

   夢の中で、彼女の臍(おへそ)は、

   背中にあった。

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩より。新かなに変えてあります。)

 

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