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2020年1月19日 (日)

中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション17/独身者

独身者

 

石鹸箱(せっけんばこ)には秋風が吹き

郊外と、市街を限る路(みち)の上には

大原女(おはらめ)が一人歩いていた

 

――彼は独身者(どくしんもの)であった

彼は極度の近眼であった

彼はよそゆきを普段に着ていた

判屋奉公(はんやぼうこう)したこともあった

 

今しも彼が湯屋(ゆや)から出て来る

薄日(うすび)の射してる午後の三時

石鹸箱には風が吹き

郊外と、市街を限る路の上には

大原女が一人歩いていた

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩より。新かなに変えてあります。原文「よそゆき」の傍点は で示しました。)

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