カテゴリー

2024年1月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

« 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション53/(短歌五首) | トップページ | 中原中也・春の詩コレクション2/春の夜 »

2020年2月27日 (木)

中原中也・春の詩コレクション1/春の日の夕暮

春の日の夕暮

 

トタンがセンベイ食べて

春の日の夕暮は穏かです

アンダースローされた灰が蒼ざめて

春の日の夕暮は静かです

 

吁(ああ)! 案山子(かかし)はないか――あるまい

馬嘶(いなな)くか――嘶きもしまい

ただただ月の光のヌメランとするままに

従順なのは 春の日の夕暮か

 

ポトホトと野の中に伽藍(がらん)は紅(あか)く

荷馬車の車輪 油を失い

私が歴史的現在に物を云(い)えば

嘲(あざけ)る嘲る 空と山とが

 

瓦が一枚 はぐれました

これから春の日の夕暮は

無言(むごん)ながら 前進します

自(みずか)らの 静脈管の中へです

 

 (「新編中原中也全集」第1巻・詩より。新かなに変えてあります。)

« 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション53/(短歌五首) | トップページ | 中原中也・春の詩コレクション2/春の夜 »

061中原中也の春の詩コレクション」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション53/(短歌五首) | トップページ | 中原中也・春の詩コレクション2/春の夜 »