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2020年2月14日 (金)

中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション43/青木三造

青木三造

 

序歌の一

 

こころまこともあらざりき

不実というにもあらざりき

ゆらりゆらりとゆらゆれる

海のふかみの海草(うみくさ)の

おぼれおぼれて、溺れたる

ことをもしらでゆらゆれて

 

ゆうべとなれば夕凪(ゆうなぎ)の

かすかに青き空慕(した)い

ゆらりゆらりとゆれてある

海の真底の小暗きに

しおざいあわくとおにきき

おぼれおぼれてありといえ

 

前後もあらぬたゆたいは

それや哀しいうみ草の

なさけのなきにつゆあらじ

やさしさあふれゆらゆれて

あおにみどりに変化(へんげ)すは

海の真底の人知らぬ

涙をのみてあるとしれ

 

その二

 

冷たいコップを燃ゆる手に持ち

夏のゆうべはビールを飲もう

どうせ浮世はサイオウが馬

 チャッチャつぎませコップにビール

 

明けても暮れても酒のことばかり

これじゃどうにもならねようなもんだが

すまねとおもう人様もあるが

 チャッチャつぎませコップにビール

 

飲んだ、飲んだ飲んだ、とことんまで飲んだ

飲んで泡吹きゃ夜空も白い

白い夜空とは、またなんと愉快じゃないか

 チャッチャつぎませコップにビール。

 

 (「新編中原中也全集」第2巻・詩より。新かなに変えてあります。)

 

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