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2020年2月 2日 (日)

中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション31/春の夕暮

春の夕暮

 

塗板(トタン)がセンベイ食べて

春の日の夕暮は静かです

 

アンダースロウされた灰が蒼ざめて

春の日の夕暮は穏(おだや)かです

 

ああ、案山子はなきか――あるまい

馬嘶(いなな)くか――嘶きもしまい

ただただ青色の月の光のノメランとするままに

従順なのは春の日の夕暮か

 

ポトホトと臘涙(ろうるい)に野の中の伽藍(がらん)は赤く

荷馬車の車、 油を失い

私が歴史的現在に物を言えば

嘲(あざけ)る嘲る空と山とが

 

瓦が一枚はぐれました

春の日の夕暮はこれから無言ながら

前進します

自(みずか)らの静脈管の中へです

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩より。新かなに変えてあります。)

 

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