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2020年2月19日 (水)

中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション48/(なんにも書かなかったら)

(なんにも書かなかったら)

 

なんにも書かなかったら

みんな書いたことになった

 

覚悟を定めてみれば、

此の世は平明なものだった

 

夕陽に向って、

野原に立っていた。

 

まぶしくなると、

また歩み出した。

 

何をくよくよ、

川端やなぎ、だ……

 

土手の柳を、

見て暮らせ、よだ

 

             (一九三四・一二・二九)

 

開いて、いるのは、

あれは、花かよ?

何の、花か、よ?

薔薇(ばら)の、花じゃろ。

 

しんなり、開いて、

こちらを、向いてる。

蜂だとて、いぬ、

小暗い、小庭に。

 

ああ、さば、薔薇(そうび)よ、

物を、云ってよ、

物をし、云えば、

答えよう、もの。

 

答えたらさて、

もっと、開(さ)こうか?

答えても、なお、

ジット、そのまま?

 

 

鏡の、ような、澄んだ、心で、

私も、ありたい、ものです、な。

 

 鏡の、ように、澄んだ、心で、

 私も、ありたい、ものです、な。

 

鏡は、まっしろ、斜(はす)から、見ると、

鏡は、底なし、まむきに、見ると。

 

 鏡、ましろで、私をおどかし、

 鏡、底なく、私を、うつす。

 

私を、おどかし、私を、浄め、

私を、うつして、私を、和ます。

 

鏡、よいもの、机の、上に、

一つし、あれば、心、和ます。

 

ああわれ、一と日、鏡に、向い、

唾、吐いたれや、さっぱり、したよ。

 

 唾、吐いたれあ、さっぱり、したよ、

 何か、すまない、気持も、したが。

 

鏡、許せよ、悪気は、ないぞ、

ちょいと、いたずら、してみたサァ。

 

 (「新編中原中也全集」第2巻・詩より。新かなに変えてあります。)

 

            

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