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2020年2月 3日 (月)

中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション32/幼き恋の回顧

幼き恋の回顧

 

幼き恋は

燐寸(マッチ)の軸木(じくぎ)

燃えてしまえば

あるまいものを

 

寐覚(ねざ)めの囁(ささや)きは

燃えた燐(りん)だった

また燃える時が

ありましょうか

 

アルコールのような夕暮に

二人は再びあいました――

圧搾酸素(あっさくさんそ)でもてている

恋とはどんなものですか

その実(じつ)今は平凡ですが

たったこないだ燃えた日の

印象が二人を一緒に引きずってます

何(なん)の方(ほう)へです――

ソーセージが

紫色に腐れました――

多分「話の種」の方へでしょう

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩より。新かなに変えてあります。)

 

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