中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション33/(秋の日を歩み疲れて)
(秋の日を歩み疲れて)
秋の日を歩み疲れて
橋上を通りかかれば
秋の草 金にねむりて
草分ける 足音をみる
忍從(にんじゅう)の 君は默(もく)せし
われはまた 叫びもしたり
川果(かわはて)の 灰に光りて
感興(かんきょう)は 唾液(だえき)に消さる
人の呼気(こき) われもすいつつ
ひとみしり する子のまなこ
腰曲げて 走りゆきたり
台所暗き夕暮
新しき生木(なまき)の かおり
われはまた 夢のものうさ
(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)
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