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2020年2月22日 (土)

中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション51/(秋が来た)

(秋が来た)

 

秋が来た。

また公園の竝木路(なみきみち)は、

すっかり落葉で蔽(おお)われて、

その上に、わびしい黄色い夕陽は落ちる。

 

それは泣きやめた女の顔、

ワットマンに描かれた淡彩、

裏ッ側は湿っているのに

表面はサラッと乾いて、

 

細かな砂粒をうっすらと附け

まるであえかな心でも持ってるもののように、

遥(はる)かの空に、瞳を送る。

 

僕はしゃがんで、石ころを拾ってみたり、

遐(とお)くをみたり、その石ころをちょっと放(ほ)ったり、

思い出したみたいにまた口笛を吹いたりもします。

 

 (「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

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