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2020年2月11日 (火)

中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション40/いちじくの葉

いちじくの葉

 

いちじくの、葉が夕空にくろぐろと、

風に吹かれて

隙間(すきま)より、空あらわれる

美しい、前歯一本欠け落ちた

おみなのように、姿勢よく

ゆうべの空に、立ちつくす

 

――わたくしは、がっかりとして

わたしの過去の ごちゃごちゃと

積みかさなった思い出の

ほごすすべなく、いらだって、

やがては、頭の重みの現在感に

身を托(たく)し、心も托し、

 

なにもかも、いわぬこととし、

このゆうべ、ふきすぐる風に頸(くび)さらし、

夕空に、くろぐろはためく

いちじくの、木末(こずえ) みあげて、

なにものか、知らぬものへの

愛情のかぎりをつくす。

 

 (「新編中原中也全集」第2巻・詩より。新かなに変えてあります。)

 

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