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2020年2月21日 (金)

中原中也・夕(ゆうべ)の詩コレクション50/初恋集 むつよ

初恋集 

 むつよ

 

あなたは僕より年が一つ上で

あなたは何かと姉さんぶるのでしたが

実は僕のほうがしっかりしてると

僕は思っていたのでした

 

ほんに、思えば幼い恋でした

僕が十三で、あなたが十四だった。

その後、あなたは、僕を去ったが

僕は何時まで、あなたを思っていた……

 

それから暫(しばら)くしてからのこと、

野原に僕の家(うち)の野羊(やぎ)が放してあったのを

あなたは、それが家(うち)のだとしらずに、

それと、暫く遊んでいました

 

僕は背戸(せど)から、見ていたのでした。

僕がどんなに泣き笑いしたか、

野原の若草に、夕陽が斜めにあたって

それはそれは涙のような、きれいな夕方でそれはあった。

 

                      (一九三五・一・一一)

 

 (「新編中原中也全集」第2巻・詩より。新かなに変えてあります。)

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