中原中也・春の詩コレクション7/春の日の歌
春の日の歌
流(ながれ)よ、淡(あわ)き 嬌羞(きょうしゅう)よ、
ながれて ゆくか 空の国?
心も とおく 散らかりて、
エジプト煙草(たばこ) たちまよう。
流よ、冷たき 憂(うれ)い秘(ひ)め、
ながれて ゆくか 麓(ふもと)までも?
まだみぬ 顔の 不可思議(ふかしぎ)の
咽喉(のんど)の みえる あたりまで……
午睡(ごすい)の 夢の ふくよかに、
野原の 空の 空のうえ?
うわあ うわあと 涕(な)くなるか
黄色い 納屋(なや)や、白の倉、
水車の みえる 彼方(かなた)まで、
ながれ ながれて ゆくなるか?
(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)
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