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2020年3月29日 (日)

中原中也・春の詩コレクション32/朝

朝

 

雀の声が鳴きました

雨のあがった朝でした

お葱(ねぎ)が欲しいと思いました

 

ポンプの音がしていました

頭はからっぽでありました

何を悲しむのやら分りませんが、

心が泣いておりました

 

遠い遠い物音を

多分は汽車の汽笛(きてき)の音に

頼みをかけるよな心持

 

心が泣いておりました

寒い空に、油煙(ゆえん)まじりの

煙が吹かれているように

焼木杭(やけぼっくい)や霜(しも)のよう僕の心は泣いていた

 

                    (一九三四・四・二二)

 

(「新編中原中也全集」第2巻・詩Ⅱより。新かなに変えてあります。)

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