中原中也・春の詩コレクション13/また来ん春……
また来ん春……
また来(こ)ん春と人は云(い)う
しかし私は辛いのだ
春が来たって何になろ
あの子が返って来るじゃない
おもえば今年の五月には
おまえを抱いて動物園
象を見せても猫(にゃあ)といい
鳥を見せても猫だった
最後に見せた鹿だけは
角によっぽど惹かれてか
何とも云わず 眺めてた
ほんにおまえもあの時は
此(こ)の世の光のただ中に
立って眺めていたっけが……
(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)
« 中原中也・春の詩コレクション12/わが半生 | トップページ | 中原中也・春の詩コレクション14/月の光 その二 »
「061中原中也の春の詩コレクション」カテゴリの記事
- 中原中也・春の詩コレクション35/春と恋人(2020.04.01)
- 中原中也・春の詩コレクション34/春の消息(2020.03.31)
- 中原中也・春の詩コレクション33/狂気の手紙(2020.03.30)
- 中原中也・春の詩コレクション32/朝(2020.03.29)
- 中原中也・春の詩コレクション31/夜明け(2020.03.28)
« 中原中也・春の詩コレクション12/わが半生 | トップページ | 中原中也・春の詩コレクション14/月の光 その二 »


コメント