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2020年4月19日 (日)

中原中也・夜の詩コレクション19/夏の夜

夏の夜

 

ああ 疲れた胸の裡(うち)を

桜色の 女が通る

女が通る。

 

夏の夜の水田の滓(おり)、

怨恨(えんこん)は気が遐(とお)くなる

――盆地を繞(めぐ)る山は巡るか?

 

裸足(らそく)はやさしく 砂は底だ、

開いた瞳は おいてきぼりだ、

霧(きり)の夜空は 高くて黒い。

 

霧の夜空は高くて黒い、

親の慈愛(じあい)はどうしようもない

――疲れた胸の裡を 花弁(かべん)が通る。

 

疲れた胸の裡を 花弁が通る

ときどき銅鑼(ごんぐ)が著物(きもの)に触れて。

靄(もや)はきれいだけれども、暑い!

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)

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