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2020年4月13日 (月)

中原中也・夜の詩コレクション13/生い立ちの歌

生い立ちの歌

 

   Ⅰ

 

    幼 年 時

 

私の上に降る雪は

真綿(まわた)のようでありました

 

    少 年 時

 

私の上に降る雪は

霙(みぞれ)のようでありました

 

    十七〜十九

 

私の上に降る雪は

霰(あられ)のように散りました

 

    二十〜二十二

 

私の上に降る雪は

雹(ひょう)であるかと思われた

 

    二十三

 

私の上に降る雪は

ひどい吹雪(ふぶき)とみえました

 

    二十四

私の上に降る雪は

いとしめやかになりました……

 

   Ⅱ

 

私の上に降る雪は

花びらのように降ってきます

薪(たきぎ)の燃える音もして

凍(こお)るみ空の黝(くろ)む頃

 

私の上に降る雪は

いとなよびかになつかしく

手を差伸(さしの)べて降りました

 

私の上に降る雪は

熱い額(ひたい)に落ちもくる

涙のようでありました

 

私の上に降る雪に

いとねんごろに感謝して、神様に

長生(ながいき)したいと祈りました

 

私の上に降る雪は

いと貞潔(ていけつ)でありました

 

(「新編中原中也全集」第1巻・詩Ⅰより。新かなに変えてあります。)

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